『ポケットモンスター 赤・緑』の「fifth法(とくしゅエンカウント)」は、好きなポケモンと野生の戦闘ができるバグです。なぜ逃げると戦闘が残るのか、なぜ「とくしゅ」でポケモンが決まるのか、なぜレベルが7なのかを、赤(Ver1.1)で検証した結果をもとに図で解説します。
1どんな裏技?
- 反応の遅いトレーナーの視線に入った瞬間にメニューを開き、戦う前にテレポートなどで逃げる
- 別の場所でほかのトレーナーと戦ってから元の道路に戻ると、メニューが勝手に開き、閉じると野生のポケモンとの戦闘が始まる
- 出てくるポケモンは、最後に戦った相手のポケモンの「とくしゅ」で決まる。とくしゅの数値を合わせれば、伝説のポケモンでも幻のポケモンでも出せる
- レベルは何もしなければ7。戦闘中に相手のこうげきを下げると、そのぶん低くなる
「fifth」は、このバグを最初に報告した人の名前です。別名の「とくしゅエンカウント」は、出てくるポケモンが相手の「とくしゅ」の数値で決まるところから来ています。
2やり方
使えるトレーナー
使えるのは、視線が4マスあるトレーナーだけです。さらに、トレーナーが主人公から見て左・上・下にいる向き(右向き・下向き・上向きのトレーナー)でないといけません。
ふつうのトレーナーは、視線に入った同じ瞬間に見つける判定をするので、STARTを押しても間に合いません。ところが、視線の線に沿って、画面の外(5歩先)から1歩入ると、トレーナーは「画面に映ったばかり」なので、見つける判定が1コマだけ遅れます。この1コマの間にSTARTを押すと、見つかったのにメニューが開く状態になります。主人公の右側は5歩先まで画面に映っているので、左向きのトレーナー(主人公の右にいる)では使えません。
下の地図は8番どうろの例です。青い枠は上向きのギャンブラーと、その視線(4マス)、緑の枠は立つ場所(視線の線の5歩先)です。ここから下へ1歩入りながらSTARTを押します。赤とオレンジは横から視線に入る例で、どのタイミングでも間に合いません。

手順
| # | 操作 | ゲームの中で起きていること |
|---|---|---|
| 1 | 視線4のトレーナーの、視線の線の5歩先に立つ(上の地図の緑の枠) | トレーナーはまだ画面の外 |
| 2 | トレーナーのほうへ1歩進みながらSTART →「ポケモン」→ テレポート(またはそらをとぶ・あなぬけのヒモ) | 見つかった瞬間に「戦う予定」が書かれ、メニューを開けなくする印が立つ。戦闘が始まる前にマップを出る |
| 3 | 着いた町でSTARTを押しても、メニューが開かない | 印が残っているので、STARTとAボタンが受け付けられない |
| 4 | まだ戦っていないトレーナーと戦う。このとき最後に出てきた相手のポケモンが、出てくるポケモンを決める | 「戦う予定」の2マスに、相手のとくしゅの余りと、こうげきの段階が写される。トレーナー戦が終わると印が消えて、メニューも開くようになる |
| 5 | ほかの戦闘をせずに、手順1の道路に戻る | 止まっていた段階が続きから動き、STARTメニューが自動で開く |
| 6 | メニューを閉じる | 野生のポケモンとの戦闘が始まる。ポケモン=最後の相手のとくしゅの余り、レベル=こうげきの段階 |
手順3の写真は、テレポートで着いた町です。STARTを押してもメニューが開きません。


3仕組み:「戦う予定」が別の戦闘で上書きされる
① トレーナーに見つかると「戦う予定」が書かれる
トレーナーの視線に入ると、ゲームはまず「これからこのトレーナーと戦う」という予定を記録します。記録するのは2マスです。ここからはこの2マスをマスA・マスBと呼びます。マスAにトレーナーの種類(ギャンブラー・たんパンこぞうなど)、マスBにチームの番号(同じ種類のトレーナーの中の、何番目の手持ちか)が入ります。同時に、戦闘が終わるまでメニューを開けなくする印が立ちます。
この印は、トレーナーが歩いて来て話しかけ、戦闘が始まるまでの流れを守るためのものです。もし途中でメニューを開けると、道具を使ったり、ポケモンを入れ替えたり、そらをとぶで別の町へ行ったりできてしまい、ゲームが用意した「見つかる → 歩いて来る → 話す → 戦う」の順番が崩れてしまいます。そのため、見つかった瞬間から戦闘が終わるまで、STARTとAボタンを受け付けないようにしています。
fifth法は、この印が立つほんの少し前にメニューを開いてしまうことで、守られているはずの流れから抜け出すバグです。
② 戦う前に逃げると、予定と印が残る
ふつうは、トレーナーが歩いて来て話しかけ、戦闘が始まり、戦闘が終わったところで印が消えます。ところが、見つかった瞬間にメニューを開いてテレポートなどで逃げると、戦闘が始まらないままマップを出てしまいます。戦闘が終わっていないので、「戦う予定」もメニューを開けなくする印も残ったままです。そのため、着いた町ではSTARTを押してもメニューが開きません。
元の道路のほうでも、「トレーナーの文章を出して戦闘を始める」段階の途中で止まったままになります。
③ 別の戦闘で、同じ場所に「相手の能力」が写される
ここが一番大事なところです。「戦う予定」を書いた2マスは、戦闘中は別の記録の置き場としても使われています。戦闘で相手のポケモンが出てくるたびに、ゲームは相手のレベル・HP・こうげき・ぼうぎょ・すばやさ・とくしゅをまとめて写し、そのすぐ後ろに「能力の段階」(こうげきが上がった・下がったを表す数字。ふつうは7)を並べます。
とくしゅは大きな数になることがあるので、2マスに分けて記録されています(前半=256がいくつ分か、後半=256で割った余り)。この並びの「とくしゅの後半」がマスAに、「こうげきの段階」がマスBに、ちょうど重なります。だから、マスAに入るのは「とくしゅ ÷ 256 の余り」です。
④ 戻ると、予定を「野生のポケモン」として読み直す
元の道路に戻ると、止まっていた「トレーナーの文章を出して戦闘を始める」段階が続きから動きます。このとき、話す相手が決まっていないので、文章の代わりにSTARTメニューが開きます(ゲームは「相手のいない会話」をメニューを開く操作として扱うためです)。
メニューを閉じると、ゲームは「戦う予定」を読み直して戦闘を始めます。マスAの数字が200以上ならトレーナー、200未満なら野生のポケモン、という決まりになっていて、本来はトレーナーの種類(200以上)が入っているのでトレーナー戦になります。ところが、③でとくしゅの余り(0〜255)が入ったので、多くの場合は200未満になり、マスAの数字の番号のポケモンが、マスBの数字のレベルで出てきます。
4出てくるポケモンとレベルの決まり方
ポケモン:最後の相手の「とくしゅ」÷ 256 の余り
ゲームの中のポケモンには、図鑑の番号とは別に「中の番号」が付いています。マスAに入った「とくしゅ ÷ 256 の余り」が、この中の番号として読まれます。たとえば、とくしゅが36の相手と最後に戦うと、中の番号36のポッポが出てきます。

トレーナーの手持ちのポケモンは、能力の決まり方がいつも同じなので、同じトレーナーと戦えば毎回同じポケモンが出ます。野生のポケモンは1匹ずつ能力が少し違うので、同じ種類・同じレベルでも、とくしゅが変わって出てくるポケモンも変わります。
| 最後に戦った相手 | とくしゅ | 出てくるポケモン |
|---|---|---|
| 7番どうろの野生のナゾノクサ Lv19(検証の例) | 36 | ポッポ Lv7 |
| 9番どうろのトレーナーのサンド Lv19 | 19 | ラプラス Lv7 |
| 9番どうろのトレーナーのスピアー Lv19 | 25 | ゴース Lv7 |
| 25番どうろのトレーナーのナゾノクサ Lv13 | 26 | ストライク Lv7 |
| 25番どうろのたんパンこぞうのヤドン Lv17 | 21 | ミュウ Lv7 |
レベル:最後の相手の「こうげきの段階」
マスBに入るのは、最後の相手のこうげきの段階です。段階は「こうげきがどれだけ上がった・下がったか」を表す数字で、何も変化していなければ7です。だから、fifth法で出てくるポケモンは、ふつうはLv7になります。
戦闘中に「なきごえ」などで相手のこうげきを1段下げると段階は6になり、出てくるポケモンもLv6になります。反対に、相手がこうげきを上げる技を使うと、そのぶんレベルが上がります。伝説のポケモンを低いレベルで育てたいときにも使えます。
5気をつけること
- STARTが間に合うのは1コマだけです。うまくいかないときは、立つ場所が視線の線の5歩先になっているか確かめましょう。
- 手順4では、必ずトレーナーと戦いましょう。野生のポケモンとだけ戦うと、戻っても何も起きないことがあります。
- メニューが開けなくなって困ったときは、どこかのトレーナーと最後まで戦えば元に戻ります。
- とくしゅの余りが「ポケモンのいない番号」(中の番号のうち39個と、0、191〜255)になると、けつばんなどのバグのポケモンが出ます。バグのポケモンはセーブデータを壊すおそれがあるので、狙うポケモンの番号に合わせましょう。
6よく言われる話を確かめた
| よく言われる話 | 確かめた結果 |
|---|---|
| 出てくるポケモンは、最後に戦った相手の「とくしゅ」で決まる | 正しい。とくしゅ ÷ 256 の余りが、ポケモンの中の番号になる |
| 反応の遅いトレーナーでしかできない | 正しい。正体は、画面の外から入ってくるトレーナー。視線4で、主人公から見て左・上・下にいるトレーナーだけ |
| ミュウを出す裏技 | ミュウだけではない。とくしゅを合わせれば、どのポケモンでも出せる。ミュウはその1つ |
7まとめ
- トレーナーに見つかると「戦う予定」が2マスに書かれ、メニューが開けなくなる
- 戦う前に逃げると、予定と印が残ったままになる
- 別の戦闘で、その2マスに相手の「とくしゅの余り」と「こうげきの段階」が写される
- 元の道路に戻ると、予定を読み直して、とくしゅの余りの番号のポケモンが、こうげきの段階(ふつう7)のレベルで出てくる
- 使えるのは、画面の外から入ってくる視線4のトレーナーだけ