『ポケットモンスター 赤・緑』の有名なバグ「セレクトBBバグ」(「セレクトバグ」とも呼ばれます)のやり方と、なぜミュウになるのか、なぜ道具が増えるのか、なぜ画面が止まるのかを、赤(Ver1.1)で検証した結果をもとに図で解説します。「タマムシシティに入ると安全」と言われる理由も確かめました。
1どんな裏技?
道具画面でSELECTボタンを押して道具の並び替えを始め、そのままBボタンで閉じると、「どれを入れ替えるか」の記録がゲームの中に残ったままになります。その状態で戦闘中にポケモンを選ぶと、手持ちのポケモンが、手持ちには存在しない「13匹目」などのデータと入れ替わってしまいます。
・道具画面とポケモン画面は、入れ替えの記録を同じ1か所で使っている
・ポケモンの入れ替えは、番号が6より大きくても確かめずに入れ替える
・「13匹目」として読まれるのは、いま居るマップの出入口の一覧
2やり方
準備
- タマムシシティに一度入っておく(理由は「仕組み③:画面が止まる理由」「タマムシシティで止まらなくなる理由」で説明します)
- 道具を13個以上持っておく(13番目の道具の種類は何でもかまいません)
- 1匹目にみずタイプのポケモンを置くと、並びがミュウになります(理由は「13番目で入れ替えると起きること」で説明します)
手順
- フィールドでSTART →「どうぐ」。13番目の道具に合わせてSELECT。そのままB → Bで閉じる
- 草むらで野生のポケモンと戦闘になったら、「ポケモン」を選ぶ
- 入れ替える前の手持ちが並ぶ。写真では、1匹目はゼニガメ(ニックネーム「カメックス」)Lv10
- 1匹目をAで選ぶと、1匹目が「13匹目」と入れ替わる




手順4のあと、1匹目は手持ちの並びの上でミュウになり、名前は「ナゲイ」、ねむり・HP332 の崩れたデータになりました。道具袋の道具の数は20個 → 172個に増えました。
3仕組み①:入れ替えの記録が残る
道具の並び替えとポケモンの並び替えは、「どれを入れ替えるか」の記録を同じ1か所に書いています。道具画面でSELECTを押すと、ここに「13」と書かれます。
ふつうは、並び替えを途中でやめると記録は消されます。ところがフィールドの道具画面を B → B で閉じたときは、記録が消されず、「13」が残ったままになります。
記録が残っていると、何が起きるのか
ポケモンの並び替えは、Aボタンを2回押して行います。1回目のAで「入れ替え元」を記録し、2回目のAで、その記録とカーソルのあるポケモンを入れ替えて、記録を消します。ゲームは「記録があるかどうか」で、いま押されたAが1回目か2回目かを見分けています。
セレクトBBの状態では、道具画面で押したSELECTによって、すでに「13」という記録があります。そのため、戦闘中のポケモン画面で最初に押したAが「2回目のA」として扱われ、その場で「13匹目」と入れ替える処理が動きます。道具画面のSELECTが、ポケモンの並び替えの「1回目のA」のかわりになってしまうのです。
さらに、ポケモンの入れ替えでは「番号が手持ちの数(最大6)以内か」を確かめていません。そのため、本来は存在しない13匹目との入れ替えが、そのまま本当に行われてしまいます。「記録が残る」「最初のAで入れ替えが動く」「番号を確かめない」の3つが重なって起きるのが、セレクトBBバグです。
記録が消えてしまう操作(うまくいかないときはここを確認)
| 操作 | 記録 |
|---|---|
| フィールドの道具画面で SELECT → B → B | 残る |
| フィールドで START →「ポケモン」を開く | 開いた時点で消える |
| ポケモンの「ならびかえ」を始めて、キャンセルする | 消える |
| 戦闘中に、技の上で SELECT を押す | 消える |
| 戦闘中の道具画面で SELECT → B | B の時点で消える(SELECT はフィールドの道具画面で押す) |
フィールドのポケモン画面は開いた時点で記録が消えるので、バグを起こすには戦闘中(または姓名判断師)のポケモン画面を使います。
4仕組み②:「13匹目」はどこにあるのか
手持ちのポケモンは、ゲームの中で4つの表に分けて記録されています。
入れ替えのときは、4つの表の「○匹目」をそれぞれ計算して入れ替えます。このとき、番号が手持ちの数(最大6)を超えていないかを確かめていません。そのため「13匹目」を計算すると、4つの表のどれでも、表の外にある別の記録の場所になります。
つまり13匹目と入れ替えると、手持ちの1匹目のデータと、出入口の一覧・図鑑の記録・道具袋の数などが入れ替わります。何番目と入れ替えるかで、当たる場所が変わります。
| 何匹目 | ポケモンのデータ(44マス)が当たる所 | ニックネーム(6マス)が当たる所 |
|---|---|---|
| 7匹目 | 親の名前・ニックネームの表 | 図鑑「捕まえた」 |
| 8匹目 | ニックネームの表・図鑑「捕まえた」 | 図鑑「捕まえた」 |
| 13匹目 | 今いるマップの出入口の一覧 | 図鑑「見た」の終わり・道具袋の数 |
| 14匹目 | 出入口の一覧の続き | 道具袋の中身 |
| 20匹目 | 人の配置などの記録 | 道具袋の終わり・お金 |
513番目で入れ替えると起きること
並びがミュウになる理由
「種類の並び」の13番目は、ちょうど1匹目のデータの「タイプ」の場所に当たります(図4の①)。ゲームの中では、みずタイプを表す番号と、ミュウを表す番号が同じです。そのため1匹目がみずタイプのポケモンだと、13匹目の種類は「ミュウ」と読まれ、入れ替えのあと1匹目の並びがミュウになります。
名前・状態・HPが崩れる理由
1匹目に入ってくるデータ(44マス)は、出入口の一覧の値です(図4の②)。出入口1個は4マス(縦の位置・横の位置・行き先の番号・行き先のマップ)なので、44マスは出入口11個ぶんにあたります。これがレベルやHP、技として読まれるため、でたらめな値になります。名前は図鑑の記録から来るので、読めない文字の並びになります。
反対に、もとの1匹目(ゼニガメ)のデータは出入口の一覧に書き込まれます。そのため、今いる道路や町の出入口の行き先が変わることがあります。
道具が増える理由
ニックネームの表の13番目は、図鑑の記録の終わりから道具袋の数にかけての場所に当たります(図4の④)。入れ替えると、1匹目のニックネームの6マスが、次のように書き込まれます。
手順4では1匹目のニックネーム「カメックス」の文字が書き込まれ、道具袋の数が20個から172個に変わりました。ゲームの中では文字にも番号があり、その番号がそのまま「道具の番号」や「個数」として読まれます。文字と道具の対応の一部を、次の表にまとめました。
| 文字 | 4マス目に入れたときの道具 | 5マス目に入れたときの個数 |
|---|---|---|
| ぐ | ふしぎなアメ | 40 |
| ぢ | きんのたま | 49 |
| づ | ポイントアップ | 50 |
| が | インドメタシン | 38 |
| ぎ | リゾチウム | 39 |
| ど | なんでもなおし | 52 |
| ヂ | かいふくのくすり | 16 |
| ヅ | まんたんのくすり | 17 |
| ぜ | ヨクアタール | 46 |
| ぱ | スペシャルアップ | 68 |
| ザ | つきのいし | 10 |
| ぞ | リーフのいし | 47 |
6仕組み③:画面が止まる理由
13匹目の「最大HP」は、出入口の一覧の12個目の行き先のマップと13個目の縦の位置からできています。
ポケモン画面ではHPバーの長さを割り算で求めますが、この割り算は「引けるだけ引いて、引いた回数を数える」方法で計算しています。最大HPが0だと、引いても数が減らないので、計算がいつまでも終わりません。これが「画面が止まる」正体です。ただし、HPが0のときはこの割り算をしないので、止まるのは「HPが0でなく、最大HPが0」のときだけです。
7タマムシシティで止まらなくなる理由
出入口の一覧は、マップに入ったときにそのマップの出入口の数だけ上書きされ、残りの部分は消されません。出入口が11個以下のマップしか通っていないと、12・13個目は空(0)のままで、13匹目の最大HPが0になってしまいます(HPが0でなければ、画面に出たときに止まります)。
タマムシシティには出入口が13個あるので、町に入ると一覧が13個目まで埋まります。そのあと出入口の少ない道路へ移っても、12・13個目はタマムシシティのときの値が残るので、最大HPが0になりません。検証では最大HPは35611になり、止まらずに入れ替えられました。
8レベル100・本物のミュウにできる仕組み
セレクトBBバグでは、ポケモンをレベル100にしたり、並びだけでなく中身まで本物のミュウにしたりできます。どちらも、入れ替える番号を組み合わせることで起きます。
「種類の並び」は、8匹目から1匹目のデータの中に入る
「種類の並び」を8匹目より後ろまで数えると、今度は手持ちの1匹目のデータの中に入っていきます。8匹目の種類は1匹目のデータの1マス目(種類)、13匹目は6マス目(タイプ)、22匹目は経験値のいちばん大きい桁に当たります。
本物のミュウになる理由
13番目で入れ替えると、1匹目のタイプの場所にある「ミュウと同じ番号」が、1匹目の種類の並びに入ります。そのあと8番目と入れ替えると、今度は種類の並びの値が1匹目のデータの1マス目(種類)に書き込まれます。こうして、並びとデータの両方がミュウになります。
レベル100になる理由
22番目と入れ替えると、種類の並びにある値が、1匹目の経験値のいちばん大きい桁に書き込まれます。いちばん大きい桁に数が入ると、経験値は一気に何十万・何百万という大きさになります。経験値がレベル100に必要な量を超えたポケモンは、戦闘で経験値をもらったときにレベルが計算し直され、レベル100になります。
うまくいかないときの原因
使う番号の組み合わせは、手持ちのポケモン・ニックネーム・道具の並び・通ってきたマップによって変わります。途中で止まるときは、次の2つが原因です。
- HPが0でなく、最大HPが0のデータが画面に出る … 途中の入れ替えで、HPが0でなく最大HPが0になる記録がポケモンのデータとして読まれると、HPバーの計算で止まります。出入口が32個あるヤマブキジム(ワープ床の部屋)に入って出入口の一覧を全部埋めておくと、起きにくくなります。
- 崩れた道具の名前が表示される … 14匹目より後ろの「ニックネーム」は道具袋の中身に当たります。入れ替えると、ポケモンのニックネームの文字が道具の番号として道具袋に入ります。その番号が正しい名前のない「崩れた道具」だと、名前の中に文章を表示するときの命令の記号(改ページ・名前の差し込みなど)が混ざっていて、道具画面で名前を出したときに画面が崩れて止まります。
どちらも、何番目と入れ替えるかで避けられることがあります。セーブデータごとに、使う番号を変えて試しましょう。
9気をつけること
- 13番目以外(14番目など)を使うと、止まることがあります。14番目で入れ替えたあと、道具袋に崩れた名前の道具が入り、その名前を表示したときに画面が崩れて操作できなくなりました。
- 入れ替えたあと、今いる道路や町の出入口の行き先が変わることがあります。
- 図鑑の記録も書き換わります(親の名前の文字が図鑑の「捕まえた」記録に入ります)。
- 崩れたポケモンや崩れた道具が残ったままセーブすると、元に戻せないことがあります。
10よく言われる話を確かめた
| よく言われる話 | 確かめた結果 |
|---|---|
| 先にタマムシシティかヤマブキジムに入ると安全 | 正しい。出入口の一覧の12・13個目が埋まるため。ヤマブキジムは出入口(ワープ床)が32個あり、一覧を全部埋めます |
| 最大HPが0だと画面が止まる | HPが0でなければ正しい。HPバーの割り算が終わらなくなるため。HPが0のときは割り算をしないので止まりません |
| 特定の場所にキズぐすりを置く/SELECTを数秒押し続ける | 関係ない。効いているのは「何番目か」だけで、道具の種類や押す長さは関係ありません |
| 4回(偶数回)入れ替えるとミュウになる | 回数は関係ない。並びをミュウにするだけなら、13番目で1回入れ替えれば十分です。中身まで本物のミュウにするには、13番目と8番目などの組み合わせが大事で、回数はその結果にすぎません |
| レベル100にできる | できる。22匹目の「種類」が1匹目の経験値のいちばん大きい桁に重なるため、経験値をとても大きな数にでき、戦闘で経験値をもらうとレベル100になります |
11まとめ
- 道具画面とポケモン画面は、入れ替えの記録を同じ1か所で使っている。SELECT → B → B で、その記録が残る
- 記録が残っていると、ポケモン画面の最初の A が「入れ替えの2回目」として動く
- ポケモンの入れ替えは番号を確かめないので、「13匹目」=手持ちの外の記録と入れ替わる
- 13匹目のデータは今いるマップの出入口の一覧。種類は1匹目のタイプ、ニックネームは道具袋の数に当たる
- みずタイプの番号とミュウの番号が同じなので、並びがミュウになる。ニックネームの文字で道具袋が書き換わる
- HPが0でなく最大HPが0だと、HPバーの割り算が終わらず止まる。タマムシシティに入って出入口の一覧を埋めておくと防げる